神戸・季節・時
- horiuchiclinic
- 2020年5月15日
- 読了時間: 2分
更新日:2021年1月3日

神戸は六甲山(一つの山ではなく、街の背後の山並み全体をそう呼びます)と瀬戸内海に挟まれたコンパクトな街です。
山と海に挟まれていて、風の流れを感じる太陽の光と空の明るい街。砂地も白なので余計に明るく感じるのだと思います。
もう30数年も前ですが東京に住んでいた頃、夏の休みに神戸に帰って来る度に、六甲山の山並み、まぶしい日光、青い空、白い砂地に「ああ、神戸の夏だ。」と感じたのを憶えています。
東京の友人、若い頃からずっと人生の相棒だった男が4月末、急に行き(逝き)ました。
奥さん、息子さん、娘さん達には掛ける言葉も有りませんが。
事故や病気ではなく、自分の部屋の布団の中で寝たまま一人で午前3時ごろ行った(逝った)様です。優しい所もあるけれど、それは余り見せない頑健な男でした。
2日前に電話で話をしたばかりでした。
若い頃からの人生の一番の目的は達成した後、思いがけず出てきた課題と30年近くずっと取り組んで格闘していました。
息子さんから電話をもらった時は、驚きとショックで心をどう持って行ったら良いのか分からなくなりました。
しかし、「急に行き(逝き)やがって。」とか「早すぎるだろう。」とかいう思いは出て来ませんでした。
あの電話の後、暫くして、急に解ったんだろうか。何をかは分かりませんが。
「”組手”、もう一度しとけばよかったな.」。会った後の帰り際、いつもお互い半分照れながら握手して別れたけれど、「また握手したいな。」
どんな些細(?)な事でも、どうしようかと思ったり、しなきゃなと思ったら、とっとと(すぐに)”気”で判断して動く様にしよう。
彼には身体も心も随分鍛えられました。「何か言ってくるだろう。暫くたってからか、自分がこの世とさよならをする時か、あの世に行ってからかは分からないけれど。」という思いがしたら、少し落ち着きました。
恋人じゃあるまいに、なぜか忘れていた古い歌、エンゲルベルト・フンパーディンクの”太陽は燃えている”を思い出して少し泣きました。彼らしい行(逝)き方だ。
「ありがとう。」を言ったら、「ええ~?は、は、は。」という彼の笑い声と姿が見えた気がしました。
ツツジとハナミズキの季節が終わりました。アジサイの後、私の一番好きな花、”立葵”が見られる季節が来ます。”立葵”の季節が終わり暫くすると、また例の”神戸の夏”がやって来ます。
”神戸の夏”、またやって来るのかな。
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